2006年5月9日(火)19:49

EU憲法が再び議事日程に

ベルリン/ブリュッセル(AP)

フランスとオランダの国民投票によるEU憲法批准否決から1年、EU憲法条約の救済に関する議論が再び活発になってきた。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は火曜日ヨーロッパデイ(EU記念日)にあたりベルリンでEU憲法支持を表明した。しかし一方で今は行動の時機ではないと述べて「即応策」を戒めた。EU諸機構の代表もブリュッセルでEU憲法への支持を表明した。

メルケル首相は火曜日の晩ベルリンで、フィンランドのマッティ・ヴァンハネン首相の歓迎会を終え、「原則からしてEUには制度規定が必要だ」。次期のフィンランドとドイツのEU議長国任期中にも、この問題を今後どう進めるか話し合いを行う、と語った。メルケル首相は西部ドイツ放送(WDR)主催のEUフォーラムで、フランスとオランダの国民投票否決により状況は難しくなっていると述べた。さらに首相は、今後どう進めるかの決定は適切な時期に行わねばならない。「だが熟考は続ける必要がある」。ニース条約では不十分だ、と主張した。同条約は2000年12月の首脳会議で協議の末決定され、これが現在効力を持っている。

欧州議会のジョゼップ・ボレル議長もニース条約を「将来に向けて不十分」と評した。ヨーロッパデイにあたり欧州議員と加盟国の国会議員が出席した会議で、ボレル議長はEU憲法を救済する提案を勧告した。EU議長を務めるオーストリアのヴォルフガング・シュッセル首相は、批准プロセスを議論するばかりでなく、憲法の内容に対し一層の支持を求めるよう呼びかけた。

6月までEU各国首脳は「熟考の時期」を定めている。それからその後の進め方を決定する意向である。欧州委員会は(明日)水曜日にこれに関する声明を発表する予定である。ジョゼ・マニュエル・バローゾ委員長は、「今決定を行うこと」が必要なのだと述べた。だが確実視されているのは、来年春のフランスとオランダの選挙を待たねば憲法批准のプロセスは再開できないということである。

こうした議論をよそにエストニアは火曜日、加盟25ヶ国中15ヶ国目にEU憲法を批准した。憲法の発効には全25ヶ国の批准が必要である。

メルケル首相はまた、無際限のEU拡大に対して反対する意向を表明した。「欧州(EU)の境界がどこなのか、はっきりさせる必要がある」と首相は強調したが、トルコについては言及しなかった。EUは約束を守らねばならないが、「特定の国々」に対しては近い将来の加盟がありえないことを告げる必要がある、と首相は述べた。正式加盟に代わる代案として首相は「自由貿易圏以上の新たな近隣関係」を提案した。

キリスト教民主同盟(CDU)党首のメルケル首相は、これまで繰り返しトルコの正式加盟に反対し、トルコには特権的パートナーシップのみを提案していた。しかしEUはこの間トルコ政府との間で加盟交渉を開始した。交渉は結果を約束せずに進められるが、正式加盟を目標としている。

EU諸機構は伝統的に5月9日をヨーロッパデイとして祝っている。1950年5月9日、当時のフランス外相ロベール・シューマンは統一ヨーロッパのビジョンを発表した。これが現在の欧州連合の礎石となった。

原題:EU-Verfassung rueckt wieder auf Tagesordnung   Zweiter Ueberblick




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